気の弱い鶸田(ひわだ)が就活で出会った女性の名は、鷹野ツメ子。
その顔立ち、立ち居振る舞い、誰もがひと目見て感じることは、「できる人」
それから一年半、鷹野ツメ子は社内ニートになっていた。
一体彼女に何があったのか。
彼女に何かあったわけではありません。
できる人オーラ全開で有能そうに見える彼女は、実は、シンプルにアホだったのです。
この作品は、有能そうに見える無能な女・鷹野と、データ分析の力がありながら無能に見える男・鶸田(ひわだ)の二人がタッグを組み、お互いの欠点を補い合うと、予想もしなかった成果につながった、というお話です。
日常生活でありがちなことだけど、ここまで突き抜けるとこんなにも面白くなるとは、作者の並外れたセンスを感じました。
なんとっても主人公・鷹野の人物設定が最高なんです。
鷹野の見た目から受ける印象は、見るからに有能そう。
営業先ではいつも、同期の鶸田(ひわだ)の上司と勘違いされ、彼女の話には思わずみんなが聞き入ってしまうのです。
入社するにあたって採用担当に、「優秀なヤツは一目見りゃわかる」と言わしめたほど。
でもその実態は、シンプルなアホだったのです。
ところが彼女は、ただのアホではありません。
彼女の魅力をいくつか挙げてみます。
- いつもマイペースで冷静。何事にも動じない。
- 実力も自信も、かけらも持っていないが、ブレない自分自身をしっかり持っている。
- なにかあった時、なんとかしてくれそうな、頼りがいのある、超然とした雰囲気を持っている。
- 自分の無能を自覚しているが、卑屈になったり開き直ったりはせず、いつもあるがままの自分でいる。
- ウソ、ごまかし、カッコつけが一切できない。
なかなか素敵な女性だと思いませんか。
鷹野のこの人間性があるからこそ、彼女の ”有能そうに見える見かけ” が事態を好転させる展開に納得がいくのです。
例えば、ある日の営業先でのこと、
ウソ、ごまかしのない、でもあまりに自由で無責任な鷹野の発言を、相手が勝手に深読みしてくれたおかげで、勘違いが勘違いを呼び、最終的には商談がまとまる、という展開があるのですが、これが実に傑作なんです。
そんな鷹野の、どこか超然とした人間性に影響され、同期の鶸田(ひわだ)の心に変化が現れてくるところも見どころです。
『無能の鷹』は、本当に不思議な作品なんです。
鷹野の姿を見ているだけでなんだか勇気がもらえるんです。
疲れた体と心に生気を吹き込んでくれるんです。
年齢性別を問わず、すべての方におすすめしたい作品です。
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《まんが王国》
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