『血海のノア』は2021年現在ネットでは、5巻まで配信され完結しています。
憧れの豪華客船の旅。
招かれたのは人間。
招いたのは吸血鬼。
海上の船が、血の惨劇の舞台になることなど、乗客の誰一人として知らなかった。
海上の豪華客船という逃げ場のない孤立した空間で繰り広げられる、サバイバルスリラー。
残虐な描写が苦手な方は閲覧注意です。
『血海のノア』の魅力
この作品は、恐怖を体験させることに特化した単純なホラー作品とは一味違います。
- 暗く耽美な雰囲気と、読者を非現実世界に無理なく引き込む、独特の世界観。
- このジャンルでは珍しい、しっかり練られたストーリー展開。
- 目の描き分けによる感情表現。
- 吸血鬼ものでは珍しい、一味違うテーマ設定。
いくつもの魅力にあふれています。
今回は、そのなかからテーマについて紹介します。
一味違うテーマ設定
問答無用で一方的に人間を殺戮する吸血鬼 vs 圧倒的に不利な状況の中で逃げ惑う人間
これが物語の基本構図なのです。
これを人間の視点から見ると、殺人を楽しむ悪(吸血鬼)との戦い。
とも見えますが、この物語、悪と善の戦いがテーマではありません。
テーマはずばり、「吸血鬼の食糧事情をめぐる、彼らと人間との戦い」です。
「人間にとっては、家畜が食料であるのと同じように、吸血鬼にとっては、人間が食糧である」
という設定が軸にあるのです。
人間の側から見れば、吸血鬼たちの行為は、残虐極まりないものですが、
人間も、捕食の対象である家畜に同じことをしている。
という見方ができる設定なのです。
この視点があるだけで、物語の味わいがぐっと深まります。
吸血鬼たちが催す「人間選別会」が一つの見どころです。
彼らは、人間を、
- 使い物にならないと言って捨てる
- 食糧にする
- 仲間にする
この3つに選別します。
まさにこれも、人間が動物にしていることです。
人間が生きるために、どの動物を殺して食べ、どの動物をペットにするかなどは、
人間の都合で決めているに過ぎないわけですから。
吸血鬼の食糧事情は、そのまま人間の食糧事情にも当てはまると考えると、
この作品、本当に色々考えさせられました。
まとめ
『血海のノア』は、綿密に練られたストーリー展開が魅力の「ホラー漫画」です。
それだけでも十分素晴らしいのに、この”一味違うテーマ”が作品を読みごたえのあるものにしています。
読み終わったあと、
生きるため以外に命を奪わない、
生きるために奪った命に感謝する。
こんな感想が出てくるなんて、予想外でした、
ちなみに、現代人の主食は「動物の肉」ではありませんが、
吸血鬼たちにとっては、「人間の血」こそが主食なので、
彼らにとって人間の確保は、死活問題なのです。
そうすると、人間にとっての本当の死活問題ってなんだろうと、
また考えさせられてしまいました。
『血海のノア』が気になる方、すぐに読んでみたい方は、僕がいつも利用している「まんが王国」という電子コミックサイトをおすすめします。こちらからどうぞ。
*血海のと検索してくださいね。
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