代々能面づくりを生業とし、一族の女性は日常的に面をつけて生活することが習わしの泉家。
その家に生まれた花子も、物心ついたときから小面をつけての日常生活を余儀なくされている。
”普通以上に普通でいてほしい” という母の願いをよそに、周囲の視線を気にもせず、いつもマイペースの花子さん。
そんな彼女の高校生活が始まる。
主人公の花子さんは、知的で、マイペースで、ポジティブで、思いやりのある、メンタル強めの女子高生です。
でも普通と違うところが一つだけ。
それは、彼女はいつも能面をつけているのです。
よほど深い理由があるのかと思いきや、本人曰く、昔の名残としか言いようがないらしい。
彼女にとって能面をつけての生活は、あまりにも日常過ぎて、そのことに関しては周りの視線は全く気にならないようなのです。
ところが、昼にお重弁当を人前で開くことを恥ずかしがる花子さん。
恥ずかしがるところ、そこ⁉
と思わず突っ込みたくなります。
そんな周りとのちょっとしたズレに思わず笑っちゃいます。
この作品のすごいところは何よりもまず、女子高生が能面をつけたまま普通に生活する、という斬新すぎる設定ひとつでこんなにも魅力あふれるコメディにしてしまったことです。
花子さんの勘違いから生まれる ”おかしさ” や、花子さんと周囲との感覚のズレから生まれる ”おかしさ” など、実にさり気ない自然な ”おかしさ” にあふれた作品なんですが、これらの ”おかしさ” がすべて、能面に絡んでいるのです。
これを見事に実現している緻密な構成力に驚かされます。
なんとも皮肉なのは、特殊な家に生まれながらも ”普通” の感覚で ”普通” に生活を送っている花子さんが、周りからは ”特殊” な存在として扱われてしまうことです。
花子さんはメンタル強めではありますが、興味や関心事は、”普通” の女子高生と変わりません。
でも能面をつけている、というただ一点だけで”特殊” な存在に見られてしまうのです。
花子さんが周りに与える第一印象はかなり強烈なので、無理もないかもしれません。
でもこれって、我々も日頃よく経験しますよね。
人に対する第一印象を覆すことって、その人と親しくならない限り、なかなか難しいのではないでしょうか。
この作品では、花子さんが周りの人たちに与えた強烈な第一印象がどう変化していくかも見どころの一つです。
最後に花子さんの人となりをちょっとまとめてみます。
- 知的で前向きで、思いやりのある花子さん。
- 普通の女子高生と同じようなことに興味や関心を持ち、普通に悩みもする花子さん。
- 伝統文化を継承する家に生まれながら、それに縛られるわけでもなく、それから逃げるわけでもなく、常軌を逸した家のしきたりはサラリと受け入れ、あくまでもマイペースで、自分らしく生きる花子さん。
- ただし、第一印象だけは、人に強烈なインパクトを与える花子さん。
そんな彼女が、今後どんな新しい魅力を見せてくれるのか、とても楽しみです。
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《まんが王国》
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