謎の人造美少女・ふらん。
その正体は、世界最高の生体移植の腕を持つ天才外科医。
神をも恐れぬその所業がもたらすものは、奇跡か、悪夢か。
タブーを破った人の欲望に、善意で答えるふらんだが……。
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己の欲望のために無茶な要求をしてくる依頼者たちに、ふらんはいつも善意で答えます。
依頼者たちは、ふらんが生み出す奇跡のおかげで願いは叶うものの、悲劇的な結末を迎える、という展開があまりにも秀逸なんです。
とにかく発想が狂っているところが魅力の作品です。
人間であれば進むことをためらう領域(犯すべからざる神の領域)を、人造人間であるふらんは、ためらうことなく突き進みます。
それが吉と出るか凶と出るかはお構いなしのふらんなのです。
人間の倫理観が通用しないふらんは、持てる力を尽くして、依頼人の要求に応えようとするのですが、
その結果、世にもおぞましい事態を招くことになるのです。
読者の中には、そこに生理的嫌悪感を抱く方もいるかもしれません。
でも分析好きの方でしたら、人の欲望を満たす究極の技術が何をもたらすか、一種の思考実験を楽しむことができます。
作者の木々津 克久(きぎつ かつひさ)先生が出した結論はどれも、精神にこたえるもので、後味が悪いことは否めません。
でもそれが、他では決して味わえない魅力になっているのです。
その魅力の秘密は、限界を超えた発想のインパクトです。
人間は何にせよ、限界を超える境目に来たとき、それを踏みとどまらせる力が無意識に働くものです。
この作品の場合、扱っているテーマが生命に関することなので、普通なら倫理的な問題をクリアするための言い訳が必要になるところです。
ところがこの作品、倫理的な問題は棚上げしたままで、発想の限界をやすやすと突破してしまうのです。
普通なら不自然な展開ですが、そう感じさせないわけは、限界突破を実践するのが人間ではなく、倫理観を持たない人造人間であるふらんだからです。
この設定を利用して、木々津 克久先生の想像力が爆発するのです。
リミッターの外れた想像力のインパクトに圧倒されますよ。
そして最後は、倫理観のないふらんに好き勝手やられた挙げ句、人間たちは自らの首を絞める結果を招くのです。
後味の悪い最後が多いのですが、それこそ、この作品の真骨頂です。
好きな人にとってはクセになる面白さと言えます。
もう一つ印象的なのは、ふらんの ”純粋な善意” が招く悪夢です。
- ふらんの望みは、人類の平和と、斑木(まだらき)博士に褒められること。
- ふらんの好きなことは、人体実験。
そんなふらんですが、人類の幸せを望む彼女の善意は純粋なものです。
ところがその純粋さが曲者です。
倫理観を伴わない彼女の純粋さは、周りが見えていない独りよがりなものです。
ふらんは、欲望に駆られた人間の望みを叶えることの良し悪しなど考えません。
ただ純粋に人間の望みを叶えた結果、悪夢を招くことになるのです。
もちろん人造人間である彼女に罪はありません。
全ては、人間の自業自得なのです。
最後に一言。
『フランケン・ふらん』はホラーに分類されると思いますが、グロ表現やスプラッタ表現で怖さを演出するというより、精神的グロとでも言うべきか、生理的嫌悪感とでも言うべきか、一種独特の不気味さにあふれた作品です。
ですから、読んでから後悔しないように、まずは試し読みをおすすめします。
ちなみに僕は、木々津 克久先生の度を越した発想力に見事にハマってしまいました。
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《まんが王国》
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