『生者の行進』ネタバレと感想 =単純なホラーに飽きている方におすすめ=

blue and green sky and mountain ホラー
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『生者の行進』は、ネットでは2018年11月に完結していますが、未だに根強い人気を誇る作品です。

弟を亡くして以来、霊の姿が見えるようになった主人公・吉川 泪(るい)。

彼は、死をもたらすという悪霊にとりつかれた幼馴染み・高岡まどかを助けようと奮闘する。

誰にも信じてもらえない。

頼れる人間は少ない。

二人は死を乗り越えることができるのか。

『生者の行進』の魅力を支えている注目要素とは

キャラクターの魅力


『生者の行進』で何よりもまず注目してもらいたいのは、「キャラクター設定」です。


登場人物たちのキャラクター設定に全く無理が見られないのです。


頭で無理に作られた人物ではなく、”生きて存在している人物” を思わせるのです。


その秘密は、”登場人物たちが交わす、何気ない会話を通して、人物像が徐々に垣間見えてくる” という手法にあります。


特に主人公のまどかの存在感は、強烈な個性によって作られているのではありません。


”二人が日々の生活のなかで、何を考え、どう感じているか” といった、生活に根ざしたリアルな感覚によって作られているのです。


このリアルさがベースにあるため、”悪霊との戦い” という非日常的な恐怖が真に迫って来て、本当の恐怖が味わえるのです。


テーマの深さ


この作品のテーマは人間の負の感情の深さと怖さです。


物語に登場する悪霊は、生きている人間の負の感情の産物なのです。


それらがさらに、人間の ”無念” や ”恨み” といった負の感情を飲み込み、膨れ上がり、負の感情の連鎖を引き起こすのです。



主人公の二人が、この人間が作り上げた悪霊とどう戦うかが見どころのひとつです。


まとめ


生活に根ざした等身大の主人公が、命をかけて悪霊と戦う姿を描いたこの作品。


僕は、久々に夢中になって読みました。


勧善懲悪ものでよく見られる ”爽快な読後感” や、”晴れやかな幸福感” は味わえません。


でも、読んでよかったと心から思える、充実感だけは保証します。


単純なホラーものに飽きている方には、特におすすめします。



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