『鬼獄の夜』は、2022年現在ネットでは、分冊版は49巻まで、単行本版は8巻まで配信されています。
この作品、人気はあるのに何かと言われがちなので、否定的なレビューコメントに対して少し弁護したくなりました。
よく見かける否定的なコメントが、次の3つです。
- 甘えん坊でぶりっ子なヒロインの牡丹が鼻につく
- エロさグロさが足りない
- 展開がわかりにくい
1つ目の、牡丹に関しては彼女自身、ドジで臆病で自信がない自分を自覚しています。
そんな彼女のありのままを受け入れ、心から想っているのが鷹介(ようすけ)です。
ですから彼女は、鷹介にだけはついつい甘えてしまうのです。
ちなみに牡丹に対するツッコミどころはそこじゃありません。
それは、鷹介に対する異常なほどの執着心です。
これが後に、”鷹介との別れを拒むあまりに彼女がとった異常な行動” につながるのです。
2つ目の、エロさ、グロさに関しては、そもそもこの作品は、エロとグロを全面に押し出したものではありません。
物語の根底には一貫したテーマがあり、その重要性を考えるとエロ・グロの度合いは、テーマがかすんでしまわない程度の超良いバランスだと思います。
3つ目の、展開のわかりにくさは、確かにあるかも知れません。
村に迷い込んだ若者たちを殺そうとする柴の意図がなかなかわからない構造になっているからです。
そこで一つアドバイスです。
実はこの作品は、2巻の第17話までを序章と考えて、本編は第18話から(分冊版の場合は、5巻までを序章と考えます)と考えると、全体の構成がわかりやすくなりますよ。
ですから実は、最初に登場する牡丹や鷹介は主人公ではありません。
持ち前のカンの良さを頼りに、弟(晴馬)の行方を探しに行く美空が、本編の主人公なのです。
ですから読者は美空目線で、柴の ”行動の意図” や ”背景” を探りながら読みすすめることをおすすめします。
そしてさらに作品を読みやすくするには、テーマに注目することです。
物語のテーマは、”執着心が人を狂わせる” です。(この物語に出てくる ”鬼” は、まさに執着心の産物です)
主人公を含め登場人物たち全員が持っている執着心。
その執着心を各自がどう扱うかで、運命が別れていきます。
登場人物たちそれぞれの執着心に注目しながら読むと、物語の構造がはっきり見えてきますよ。
なかでも美空が、執着心に悩みながらも最後にとった行動が、一番の見どころです。
”『鬼獄の夜』は、深いテーマを扱いながらも、エロやグロも楽しめる作品” と考えると、かなりお得じゃないでしょうか。
気になる方、もっと詳しく知りたい方は、こちらのコミックサイトをチェックしてみてください。
《まんが王国》
*鬼獄の夜と検索してくださいね。
コメント