『いじめるヤバイ奴』感想と考察 =ドSでドMのヒロインの本当の顔とは=

霧のかかった山 ヒューマンドラマ

クラスのいじめっ子仲島は、今日も白咲さんを執拗にいじめる。

鬼気迫る仲島のイジメをだれも止められない。

そんな二人には、誰も知らない秘密があった。

仲島白咲さんの指示で、イジメを強要されていたのだ。

いじめる奴 VS いじめさせる奴

前代未聞の攻防が始まる。

『いじめるヤバイ奴』は、2021年現在ネットでは、12巻まで配信されています。

この作品は、冒頭からの凄惨ないじめシーンのためか、否定的なレビューを目にしますが、はじめにひとこと言わせていただきます。

この作品は、自分をいじめさせることに快感を感じる変態少女の物語ではありません。
ドSでドMなサイコ少女の物語でもありません。
作者の思いが溢れた、機知に富んだいじめ撲滅漫画だと断言します。


今回は、ヒロイン・白咲さんの目的について、僕の予想をお話します。





この物語のもうひとりの主人公・仲島は命がけで白咲さんをいじめなければならないのです。



なぜなら少しでもぬるいイジメだと、後で白咲さんに殺されるかもしれないからです。



現に一度仲島は、歩道橋から突き落とされ、殺されかけたことがあるのです。



一方白咲さんは、”ドM” で ”ドS” の ”ヤンデレ女子高生” かと思いきや、深い裏事情を抱えているようなのです。



ですから、物語冒頭から始まる凄惨な ”いじめシーン” だけからこの漫画を判断してほしくないのです。



伏線らしきシーンを注意深く追っていくと、白咲さんが仲島にしている行為の目的がおぼろげながら見えてきます。



さらに彼女が心に秘めた、イジメに対抗する明確な意志と、悲痛な覚悟も見えてきます。



白咲さんが仲島にしていることは、次の3点です。

  • 自分を徹底的にいじめさせる
  • 少しでもぬるいイジメだったら、死の恐怖を味わわせる
  • 自分以外の人間をいじめることを決して許さない。

これってまるで、仲島を鍛えているように感じませんか。



白咲さんの意図は、唯一信頼できる仲島に、イジメを強要することの醜悪さを知ってもらうこと。



さらに、死の恐怖の経験してもらい、それを乗り越える力をつけてもらうことではないでしょうか。



だとすると、色々と辻褄の合うことが多いのです。



白咲さんは、過去に、イジメを強要する人間に親友を殺されたことがあるのです。



実際に事故のような形で手を下したのは、イジメを強要されていた生徒で、その生徒も、クラスメートに追い詰められて自殺しています。



全ての元凶は、イジメを強要した黒幕でした。



白咲さんは、この黒幕に対抗するための仲間になってほしくて、仲島を鍛えているのではないでしょうか。



仲島に対するこの身勝手な願いを、身を挺して実行しているのではないでしょうか。



そこには親友を助けられなかった白咲さんの、贖罪の気持ちもあるのかもしれません。



12巻では、その黒幕の正体もはっきりして、白咲さんの目的が明らかにされるのも近いかと思います。



いずれにしても、この作品のテーマは、「緻密に戦略を練り、イジメに徹底的に対抗する」
といったところにあると感じます。



あくまでも私的な意見なので、賛否あるかと思いますが、気になった方は、ご自分の目で確かめてみてください。



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