漫画を読む醍醐味のひとつは、「主人公の魅力」に触れることです。
あなたがこれまで読んできた漫画の主人公の中で、強く印象に残っている人物は誰ですか。
僕にとってこの作品の主人公・刈谷優里は、特に印象深いキャラクターの一人です。
今回は、僕が優里に惹かれた理由をお話します。
優里の人間性
優里の性格は次のとおりです。
- 純粋で真っ直ぐな心を持っている。
- 相手をそのまま受け入れる優しさを持っている。
- 自分を真摯に反省できる素直さを持っている。
でも一番特徴的なことは、純粋さが行き過ぎている点です。
行き過ぎた純粋さがもたらすもの
優里の「行き過ぎた純粋さ」は、次のようなことをもたらします。
- 感情のコントロールが効かず、激情に身を任せてしまう。
- 度を越した執着心に悩まされる。
- 自分勝手な自己犠牲を実行する。
この中でも、3つ目の自己犠牲は、物語の展開にも関わってきます。
優里は、仲間の命が危険にさらされた時、黒青野から、「仲間を守るのと引き換えに瞳がほしい」と持ちかけられます。
優里は、自己犠牲の精神を発揮して、軽々しくも自分の瞳を黒青野に捧げてしまいます。
後に優里は、自己犠牲は自分勝手な行為だと気づき、死ぬほど後悔します。
相手のためなら死んでも構わないという自己犠牲の精神は、それがどれほど相手を苦しめ、傷つけることになるか、優里は気づかなかったのです。
優里はまた、彼女の長所でもある「相手を受け入れる優しさ」が度を越して、間違いを犯したこともあります。
それは優里が、”大人になった自分と、死んだはずの青野くんが一緒に暮らす”、という幻を見せられた時のことです。
二人が愛を確かめあっている最中に青野が黒青野に変わり、優里をかじって食べるようになるのですが、彼女はその行為をどこまでも許してしまうのです。
後に優里は、自分だったら人にはできないひどいことを、愛する青野くんにさせてしまったと、死ぬほど後悔します。
優里はいつも、純粋さが度を越すが故に、後悔を重ねることになるのです。
優里の成長をもたらしたもの
自分を大切にすることを忘れがちの優里の純粋さは、彼女が育った環境や、彼女の幼さから来ると考えられます。
そんな彼女が、青野くんの死を経験し、死後の青野くんとの交流を通して、徐々に成長していきます。
彼女が成長できた一番の理由は、自分を真摯に反省できる素直さを持っていたからです。
人が本当の意味で成長するために一番大切なものを、彼女はしっかり持っていたのです。
「謎解きホラー」としても一流のこの作品ですが、「優里の成長記録」として読むと、優里の魅力が一層印象に残ると思います
優里が自分を反省するときに見せる素直さは、その時の彼女の表情とともに、僕の心に忘れがたい印象を残してくれました。
まとめ
優里は、自らの行き過ぎた純粋さ故に、自分も傷つけ、その結果青野くんも傷つけてしまいます。
その後、素直に自分を顧みて、死ぬほど後悔し、死ぬほど反省します。
また、優里本来の長所である、「相手を受け入れる優しさ」も、行き過ぎて自己犠牲に繋がり、結局愛する青野くんを苦しめることになります。
その後また、素直に自分を顧みて、死ぬほど後悔し、死ぬほど反省します。
そんなことを繰り返しながら、優里は少しずつ成長していきます。
その成長過程が実に自然でリアルで、優里は僕にとっては忘れがたいキャラクターの一人になりました。
この作品では、優里の成長がストーリー展開に大きく関わってくるので、興味のある方はぜひこの点に注目してみてください。
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