漫画の面白さを支えている要素は色々ありますが、今回は世界観に注目してみました。
もしあなたがなにかに行き詰まりを感じているなら、漫画の世界観にふれてみませんか。
漫画の世界観に触れることで、自分のものの見方や生き方が変わり、新しい自分に出会えるかもしれませんよ。
漫画における世界観とはご存知のように、
- 物語の根底に流れる、人間のあり方に関する思想。
- ストーリーや設定や作画に支えられた、その漫画だけが持つ独特の雰囲気。
これら2つの意味があります。
漫画は、これら2つの意味を同時に味わえる唯一無二の媒体です。
今回は、人の心の闇をどう捉えるかに焦点を当てた、「ダークな世界観」の作品を紹介します。
「ダークな世界観」を選んだ理由は、人のダークな側面を知ることは、明るい面とのバランスの大切さを知るきっかけになり、ひいてはブレない生き方の実践につながるからです。
今回紹介する作品は、漫画の凄さが堪能できるものばかりです。
ぜひ読んでもらいたいです。
ダークな世界観が魅力の漫画ランキング
1位: 青野くんに触りたいから死にたい 《タブーを破った人間たちの心の闇》
付き合って2週間で青野くんが死にました。
絶望のあまり死のうとする優里のもとに、突然現れた幽霊の青野くん。
生者と死者は、二度と触れ合うことができないなず。
でも優里の青野くんに対する執着心が、そのタブーを破ってしまい…。
なんて漫画だ!!
これほどまでに人の心を揺さぶる作品がかつてあったでしょうか。
タブーを破ってまで純愛を貫こうとする主人公・優里の心情の切なさと、逃れようのない得体のしれない怖さが直に心に流れ込んでくるのです。
テーマは、愛と成長。
登場人物たちが自分のエゴを通すために、死者に捧げものをした代償はあまりにも大きかったのです。
リセットするには、生死をかけた覚悟が必要になります。
”一途な純粋さ” や ”自己犠牲” がどれほど愚かなことか、優里たちは身を持って経験するのです。
今まで体験したこともない未知の感情に飲み込まれるはずです。
漫画にしか作り出せない世界を実現した、傑作です。
2位: 外道の歌 《復讐をめぐる心の闇》
犯罪被害者たちの無念を晴らす、復讐代行人・カモ。
彼はなぜ、復讐代行人になったのか。
復讐の先にあるものは何か。
主人公・カモを通して、犯罪被害者の生き方と正義を問うヒューマンドラマ。
この作品に、救いようのない悪を次々と裁く、痛快な復讐劇を期待する方が多いかもしれません。
もちろんそういった楽しみ方もあります。
でもこの作品は、復讐をめぐる人の心の闇を描いた上質のヒューマンドラマとして読むこともできるのです。
誤解を恐れずに単純に言うと、犯罪被害者に残された道は、生きるか死ぬかです。
生きることを選んだ者に残された道は、復讐するかしないかです。
主人公・カモは、生きることを選び、復讐することを選びました。
彼は、復讐を正当化することもなく、復讐からは何も生まれないことも承知しています。
読者はカモの存在意義をどう考えるべきか、究極の問いを投げかけられるのです。
人の生き方を根本から問い直す、骨太のヒューマンドラマです。
3位: 外れたみんなの頭のネジ 《人の本能に潜む心の闇》
「私だけが気づいている」
街の人達の奇行。
部屋に現れた悪魔。
周りが狂っているのか、それとも私が狂っているのか。
真実を探ろうとするミサキだが、自分自身を信じることすら危うい。
一体この町で何が起きたのか。
当たり前と思っていたことが、実は当たり前じゃないことに気づいた時、人は自分の価値観を疑い始めるかもしれない。
周りの人間が正しいと主張することに同意できなくなった時、人は自分の正常性を疑い始めるかもしれない。
そんな状況に置かれた主人公・ミサキは、自分の正常性を証明するために奮闘します。
日常生活を支えている常識が、これと言って根拠のないもので、実はきっかけさえあればもろくも崩れ去るものに過ぎない事に気づいた時、人はどう行動するべきか。
『外れたみんなの頭のネジ』は、読者の思考を強烈に刺激する、鋭く厳しい現代批評のような作品です。
作品全体を通してのテーマは、”もしも人が、真の本能の赴くままに振る舞うことができて、常識や恐怖から解放されたらどうなるか” です。
思考実験が好きな方には、特におすすめします。
4位: ROUTE END 《自殺をめぐる心の闇》
春野太慈(はるのたじ)。
職業・特殊清掃業。
10歳の時、母親が首を吊った。
「自分は母親の生きる理由にはなれなかった」
その思いから離れられない彼はそれ以来、”怒り” と ”死の誘惑” に飲み込まれないために、自分との対話を続けてきた。
そんな彼を、再び絶望が襲う。
「死との向き合い方」をテーマにした、骨太のヒューマンドラマです。
猟奇的殺人事件(END事件)を軸に、登場人物たちの死との関わり合いが克明に描かれていきます。
- 身近な人の死に深く傷つけられた者
- 自己の欲望を追求し続ける者
- 心を癒やすため、破滅への道を自ら歩み続けた者
登場人物たちが複雑に絡み合う中、END事件が突然終わりを告げます。
そして、驚愕の事実とともにすべてがつながるのです。
少しネタバレですが、現実と幻想が交錯する設定なので、ミステリーとして読むと肩透かしを喰らいますので、注意が必要です。
何度も読み直したくなる名作です。
5位: ギフト± 《人の存在意義をめぐる心の闇》
更生が期待できない凶悪犯の臓器を、生きる価値のある人間へと渡す。
「命の再分配」を仕事とする闇の臓器売買組織。
謎の少女・鈴原環は、凶悪犯から臓器を摘出する解体の名人。
その手際はまるでマシンのように正確無比だ。
一見普通の女子高生の彼女が、なぜそんなスキルを身につけられたのか。
そして、相棒の崇は一体何者なのか。
この作品は、そのあまりにも非人道的で衝撃的な内容に、誰もが言葉を失うはずです。
闇の臓器売買。
人身売買。
少女売春。
主に、人をモノ扱いするビジネスにテーマが当てられています。
売れるものなら何でも売るという欲の極まった社会で、環と崇は、独自の正義と倫理観を貫こうとします。
見どころは、環の出生の秘密が明らかになる展開です。
その真相は、読むものの心を深くえぐります。
暗く救いのない展開の中、人間の欲深さ、罪深さ、愚かさなどが克明に描かれていきます。
そんな中、環と英医師の出会いと別れと再会だけが唯一、人の交流の暖かさを感じさせ印象的でした。
この作品が描く世界は、もうすでに現実世界で起きていることかもしれません。
リアルな恐怖に触れたい方にのみおすすめします。
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