恋愛まみれの世の中で、「好き」って何かを探り続ける女性コミック誌の編集者・茅野 結芽(ちのゆうめ)。
恋愛の正体がわからないまま、気がつけば彼氏いない歴25年。
少女漫画の編集の仕事に限界を感じ始めたころ、センパイ編集者・成川に力の差を見せつけられる。
でもそれがきっかけで、彼女に思いも寄らない転機が訪れる。
穏やかで思慮深く、真面目で素直なヒロイン・結芽(ゆうめ)には文芸局に移動したいという明確な目標があるのです。
そのために全くわからない恋愛マンガの編集にしがみついていましたが、そろそろ限界。
そんなとき、成川から「俺と付き合ってみない?」と突然の提案。
いったいなぜ? でも結芽(ゆうめ)は、恋愛を学ぶため、成川の申し出を受けることになるのです。
なんだか先が気になる導入ですよね。
結芽(ゆうめ)の成川に対する想いは、はじめは ”憧れと劣等感が入り混じったもの” だったのですが、いつしか恋になるのです。
当然誰もが予想できる展開ですが、この作品は展開の面白さなんか狙っていません。
魅力は何と言っても、ヒロインの心の揺れです。
25歳にして初めて恋愛を経験するヒロインの、その時々の心情の揺れが見どころなんです。
恋愛経験ゼロの結芽(ゆうめ)にとって何もかもが初めての経験。
日々戸惑うことばかりです。
そんな心の迷いや揺れが、実に丁寧に繊細に描かれています。
だからといって、もったいぶった展開で読者をイラつかせるところなど全く無く、夢中になれますよ。
恋愛の正体がわからなかった結芽(ゆうめ)が、「好き」の本質をつかめるのか、そして彼女の「好き」は相手の「好き」とどう折り合っていくのか、最後まで目が離せません。
キーパーソンでもある少女漫画の超大御所・夜桜 れい華いわく、”「好き」とは期待と欲の固まり”
このレベルの「好き」から始まった結芽(ゆうめ)の「好き」が、どこまで成長するのかも気になるところです。
そしてもう一つ、この作品の大きな魅力が、結芽(ゆうめ)と成川のイキイキとした存在感です。
「好き」を通して新しい自分に気づいていく結芽(ゆうめ)の様子を見ていると、まるで親しい友達の日頃の様子を、身近で見聞きしているように感じるのです。
これは、ヒロイン・結芽(ゆうめ)の複雑で微妙な心情の変化が、とても丁寧に、自然な流れの中で描かれているからです。
一方成川は、仕事はできるが特定の恋人は作らないという浮ついたモテ男、と思いきや、実は誰に対しても誠実で、強さと優しさを兼ね備えた ”いい男” なのです。
彼の人となりは、時折口にする誠実な言葉のみならず、その時々で見せる目の表情で、実に自然に描かれています。
この二人の魅力を味わってもらうためにも、2巻Lesson8のラストシーンまでは、ぜひ読んでもらいたいです。
恋愛に疲れた方、なかなかうまく行かない方、恋愛経験の少ない方、すべての方におすすめします。
人を愛する素晴らしさが再認識できる素敵な作品です。
『私が恋などしなくても』が気になる方、すぐに読んでみたい方は、こちらのサイトをおすすめします。
《まんが王国》
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