『おじさまと猫』はドラマ化され、2021年にはテレビ東京系で放映されたので、 ご覧になった方も多いかと思います。
2021年現在ネットでは、8巻まで配信されています。
この作品は、おじさまこと主人公・神田と、その飼い猫・ふくまるの交流を描いたヒューマンドラマです。
ふくまるの設定は、神田にとってはあくまでも一匹の猫で、猫と言葉が通じるというファンタジー設定ではありません。
ですが、ふくまる自身の ”そのときどきの気持ち” や ”独り言” は頻繁に出てきます。
このふくまるの ”心の声” は、人間である作者の ”想像の産物” のはずなのに、実際の猫の気持ちに近いのではないかと思わせるものがあります。
神田とふくまるのこの設定が、両者の程よい距離感を作り、神田の動物に対する気遣いを通して、彼の人となりがわかってくるのです。
どこまで通じ会えるかを常に自問自答しながらふくまるを気遣う、神田の姿。
言葉の通じない相手が今幸せなのかどうかを常に気遣う、神田の姿。
これらは、動物を飼う者が決してなくしてはならないことだと改めて考えさせられます。
物語の中では、神田とふくまるの背景もしっかり描かれるのですが、実は両者とも心に傷を追った者同士だったのです。
神田とふくまるの絆が深まるにつれ、神田自身の心に少しずつ変化が現れてきます。
そしてそれは必然的に、神田と彼を取り巻く人々との関係にも変化をもたらします。
神田にとってふくまるは、単なる癒やしを求めるだけの存在ではなく、自分の生き方にまで影響を与えたかけがえのない存在になっていくのです。
ちょっとワケアリの神田ですが、その風貌は周りの男性も女性も虜にするダンディーなイケメン。
さらに、彼の人間的な魅力は次の3つです。
- ちょっと天然なところ
- 誰に対しても素直で率直なところ
- 本物の優しさを持っているところ
外見も内面も魅力的な、まさに理想的なダンディーなのです。
一方、 ふくまるは、ブサカワの典型。
その表情の描き分けの豊かさによって、忘れられないキャラクターとなっています。
頻繁に出てくるふくまるの ”心の声” には賛否あるかもしれませんが、僕は、感情の動物である猫は、我々人間が思っている以上に複雑で微妙な感情をめぐらしているんじゃないか、と考えさせられました。
全編ほっこりとした暖かさに包まれていて、晴れやかな読後感が味わえる作品です。
心の奥底にまで暖かさがじんわりしみてくる物語です。
僕は、何度も読み返しました。
気になる方は、こちらのサイトをチェックしてみてください。
《まんが王国》
*おじさまと猫と検索してくださいね。
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